日本のエネルギー事情と新エネルギー 3

時間がかかる新エネルギーの本格導入

日本では1970年代に起こったいわゆる「石油ショック」を契機に、省エネ政策と同時に石油代替エネルギーとしての新エネルギー政策がスタートしました。中でも太陽光発電には政府が積極的な導入サポートを行っており、世界の太陽光発電設備容量に占める割合は約30%と、ドイツに次いで2位※1。また、バイオマスや風力発電などにも力を注いでいます。しかし、国内の一次エネルギー供給に占める新エネルギー全体の割合はわずか2%未満で、2010年度の導入目標がようやく3%※2、2030年目標で約11%※3と記されています。省エネルギーと平行して進めるとはいえ、温暖化ストップに間に合うのかどうか、気になるところです。
※1~3 経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー白書2008」より

【新エネルギー等導入目標】

  2005年度 2010年度
対策下限ケース
2010年度
対策上限ケース
太陽光発電 35万kl
(142万kW)
73万kl
(298万kW)
118万kl
(482万kW)
風力発電 44万kl
(108万kW)
101万kl
(225万kW)
134万kl
(300万kW)
廃棄物発電+バイオマス発電 252万kl
(201万kW)
449万kl
(345万kW)
586万kl
(450万kW)
バイオマス熱利用 142万kl 282万kl 308万kl(*1)
その他(*2) 687万kl 655万kl 764万kl
総合計
(第1次エネルギー総供給比)
1160万kl
(2.0%)
1560万kl
(2.7%)
1910万kl
(3.0%程度)
  2005年度 2010年度
目標
クリーンエネルギー自動車(*3) 32.6万台 233万台
天然ガスコジェネレーション 359万kW 498万kW
燃料電池 1.0万kW 10万kW
  1. 発電分野および熱利用分野の各内訳は、目標達成にあたっての目安である。
  2. 輸送用燃料におけるバイオ燃料(50万Kl)を含む。
  3. 「その他」には、「太陽熱利用」、「廃棄物熱利用」、「未利用エネルギー」、「黒液・廃材等」が含まれる。 黒液・廃材等はバイオマスの1つであり、発電として利用される分を一部含む。黒液・廃材等の導入量は、エネルギーモデルにおける紙パの生産水準に依存するため、モデルで内生的に試算。
  4. クリーンエネルギー自動車には、電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、更にディーゼル代替LPガス自動車を含む。

出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2008」

地方の積極的な取組み・導入を奨励

国の新エネルギーイノベーション計画によると、バイオマスエネルギーや風力発電については、地産地消の取組みを推進し、地域ごとのエネルギー自給率引上げを目標に掲げています。バイオマスについては、「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定し、積極的にバイオマスの利活用を推進する市町村を「バイオマスタウン」として登録。2010年までに300地域程度の登録を目指しています。また、新エネルギーの利用促進のためにさまざまな補助金の交付や事業資金の融資も行っています。そのひとつが全国750ヵ所以上の地方公共団体で策定している「地域新エネルギービジョン」で、各地の気候や産業などに適した新エネルギー導入の取組みを支援しています。

家庭用燃料電池にも助成制度を導入

燃料電池と水素エネルギー利用についても、国は研究開発などに多額の資金を投入しています。2009年からの量産販売に合わせて、一般家庭向けの助成制度の導入はすでに決定していますが、金額などの詳細は未定。地球温暖化問題への対応や省エネ推進の期待が大きい燃料電池ですが、コストが課題となっているだけに、補助金の額によっては普及の速度にも影響が出そうです。